「愛華…よく聞け」
「今…頭の中に誰がいる?」
「そんなの…大輝に決まって「嘘はつくな」」
わからない訳ではない。
受け止めたくない。
でも…
「ごめんなさい」
「それが答えだ。愛華の本当の気持ちだ」
言葉が出なかった。
大輝…ごめんなさい。
「愛華…大好きだったよ」
大輝は優しくそう言った。
「私も…っ」
「愛華…今行けよ」
「えっ…」
「あの後輩…朝だって部活終わったあとだって俺に頭下げて“愛華さんを守れるのは大輝先輩だけなんです”って毎日…時間開くたびに来てたんだ」
「それで…会えなかったんだ…」
「さっきも来た。だから今ならまだ間に合う。行ってこい」
「でも…」
「後悔するぞ」
「うん…」
「大丈夫だ。愛華の気持ちしっかり伝えてこいよ」
「本当ごめんなさい…そして、ありがとう」
「お兄ちゃん…行ってきます」
「いってらっしゃい」
本当に兄妹になれた瞬間であり始まった瞬間だった。

