「私は、サツキって名前なの。あなたは名前誰かにつけてもらった?」
は?名前?
俺は、首をかしげた。
「あー。分からないよね…。あなたの目を見て…」
そう言うと、さつきは俺の脇に手をかけてゆっくり持ち上げた。
俺がキョトンとしていると、サツキはまた
話始めた。
「同じ言葉を繰り返したりした?」
確か…母親は俺と同じことをされてた気がする…。
俺は、そっとサツキから目をそらした。これは俺なりの“分からない”のサインだ。

するとサツキは、そっと俺を床に降ろした。「そっか…、じゃ、私がつけちゃおっかな♪」
何?好きに名前はつけられるものなのか?
『変な名前にしないでくれよ…、まわりに笑われるから。』
俺がボソボソと呟いた。
「分かってるって!!…でも、性別がわかんないよね…」
…は?性別って、オスかメスかってことだよな…。…!!

サツキは俺をまた持ち上げた。
サツキが見てるのは、俺の…
…最悪だ…。

「そっか…、オスかー。」
『…ヒドイ…』
「ごめんねー。でも、これであなたの名前考えられるよ!!」
サツキは、俺の頭を優しく撫でた。
なんだよ…許しちゃうじゃん。
俺は、また眠気に襲われて…眠りについた。