これは後に伝説となる福山茉莉花の物語。
2月14日バレンタインデーの日、茉莉花は出会った。
バレンタイン撲滅を掲げる、秘密結社「喪々組」組長、桃瀬垓、その人と。
これまで生きてきた17年間、茉莉花にとってバレンタインデーと言えば大好きなチョコが食べづらい日という意味以上はなかった。
その出会いが茉莉花を変えた。
会話すらななかったその出会いを、茉莉花は決定的だったと、後に振り返る。
学ランを着た、無骨なファッションと違い、その顔立ちは幼く、はっきり言えば可愛かった。
スーツにサングラス姿の運転手が運転する軽トラックの荷台に立ち、たった一人で声を出す。
「喪々組組長、桃瀬垓、見参。男女の尊い純愛に寄生し、肥え太る製菓会社の悪行三昧をここに斬る!」