愛情の鎖


だけど柔らかな笑みを浮かべて私達を交互に見る遠藤さんには、コウさんの険しい視線は何のダメージもないみたい。


「真白様も心なしかお疲れのようですので、たまにはほっと一息ついてはどうでしょうか?」

「断る」

「さようで、ございますか?」

「悪いがそんな無駄な団欒に付き合ってるほど暇じゃないんでね」


クールにあしらったコウさんがさっさと背を向けて、面倒くさそうに息を吐く。

その姿は本当に嫌そうで、冷めたオーラを解き放っている。


「あんたもこんな所でくだらない雑談してないで、さっさと帰れば?」

「え……」

「ただし、このう胡散臭いコンシェルジュとまったりしたければ話は別だけど」


う、胡散臭い!?

暴言を吐き捨ててエレベーターの方へ歩いて行ってしまうコウさんにアワアワと驚愕する。


「くく、相変わらず面白い方ですね」

「え?」

「いえ、どうやら私は真白様にあまりいいように思われてないようですので」

「そ、そうなんですか?」

「ええ、でもあれだけはっきり拒絶されますと逆にこちらとしては気持ちがいいんですけどね?」

「えぇ!?」


遠藤さんって変わってる…

ていうのか、心がめちゃくちゃ広いのか?

彼ははまったく気にしてないみたい。

その清々しい笑みにますますビックリする。

だって遠藤さんの方を見ればやっぱり表情を変えず、柔らかな面持ちなんだもん。