愛情の鎖


そんな私を見て当たり前だけど顔を歪めたコウさん。


「梨央…、人の好意を素直に受けれない奴は幸せになんかなれねーぞ」

「いいの。今の私は幸せとは程遠い人間だから」

「たくっ、ひねくれてんなぁ」

「コウさんこそ、もしかして私に同情してる?私が旦那に裏切られてる哀れな女だとかそう思ってるんでしょう。だからこんなことするの?だとしたら逆に……」

「梨央」


突然真顔になったコウさんに呼ばれて、一瞬ピクリと身構えてしまう。


「俺がそんな優しい男にみえるか?」

「見えない、けど……」

「そもそも俺がお前に優しくして何のメリットがあるんだよ」


確かに。


「何もない、よね。あ、でも、このチャンスに人妻を誘惑しようとか?」

「アホか!なわけねーだろ、くだらねぇこと言ってないでさっさと食っちまえ」

「……」


無言になる私に、呆れたようにコウさんがもう一言。


「言っとくがただの気まぐれだ。次はない。22才の祝いとしてはこれで十分だろう」

「え……」