愛情の鎖


「面白いじゃん」


そんな言葉と一緒に不可解な笑みを突き刺してくる。
ポカンとする私の前に立って、やたら楽しそうに空に向かって煙草の煙を吐き出す姿はとてつもなく様になっている。

そんな彼に突然、1枚の紙切れを手渡された私は不思議に首を傾けた。


「これ、登録しとけよ」

「は?」

「俺の番号、きっとこの先役に立つんじゃね?」


またしても驚いた。

ニヤリと口元を上げたコウさんに私は瞳をパチクリする。

見開いた私の手元に落とされたものはなんと、ぶっきら棒に殴り書きした彼の携帯の番号だった。


「……えっ?」

「気が向いたらいつでも連絡してこい」


それだけ言って、持っていた灰皿に煙草をすり潰したコウさん。

固まる私の向かいで何事もなく遊び終えた花火の残骸を眈々と片付けていく姿は異様で。

そればかりか、片付け終えたあと彼は何を思ったのか、「少し待ってろ」と突然言い残し、自分の部屋の中に入ってしまった。

そんな姿があまりにクールで普通だったから、私は尚更ポカンと首を傾け、その場にぽつんと突っ立ってるしか出来なくて…