愛情の鎖


「昨日、私達のこと見てたんでしょ?」

「えっ……」

「いいのよ。何か言いたいことがあるならちゃんと聞くわよ」


自身満々の笑顔。それはあからさまに私を見下してる感じでいやらしく。宗一郎さんといる時とはがらりと違う雰囲気だった。


「別に、何も……」


そんな彼女に驚きながらも、冷静に受け答えをした私。元々宗一郎さんに対して好きという感情がないから目の前に愛人がいたとしても特に何も思えなかった。

ただ、面倒くさいだけで…


「あら、ずいぶんと余裕なのね」


そんな私が気に入らなかったのか、さらにいやらしさに拍車をかけて嫌味を言ってくる女将さん。

どこからどう見ても容姿端麗。顔は人形のように小さく、うなじも白くて綺麗。きっと誰から見ても和服が似合う日本美人の象徴なんだと思う。



……でも、性格は悪そうだけど。