愛情の鎖


「今度またうちにご飯でも食べに来てくださいね。今までのお礼もちゃんとしたいし」

「分かりました。じゃあ今度お言葉に甘えて」


そんなやり取りをして私達は家を出た。

そして家の隅に路駐してあったコウさん車に乗り込もうとした時、突然可愛らしい声が飛んできた。



「刑事のおじちゃーん!」


それは奈々の呼び止める声。

ちょうどタイミング悪くトイレに行っていた奈々がコウさんを見つけ、ニコニコと嬉しそうに駆け寄ってくる。


「これあげる」

「えっ?」

「ほら、この前話してた例のやつ」


それを聞いたコウさんがすぐに「ああ」と頷きを見せる。

それを見た奈々もまた目でアイコンタクトをとるように無言で一度頷いている。


えっ、何?

思わず二人を見返しながらも、どうやら二人にしか分からない秘密があるようで、


「俺も用意しといたから」


そう言って今度コウさんが車の後部座席から白色の袋を取り出した。
それを奈々に渡すと「約束のものだ」と口の端をあげ、意味深な言葉を残す。