愛情の鎖


そして時間30分前にコウさんはうちに現れた。

カーキ色のチノパンに中は白のTシャツ。その上に黒色のジャケットを羽織っていて、それがとても大人の色気を醸し出している。

一目見て素敵だと思った。

悔しいけど、コウさんってばやっぱりかっこいい。

思わず頬が赤くなる。


「よぉ、久しぶりだな」

「2週間ぶりぐらいですよね」


そして何となく照れ笑い。

恥ずかしく、すぐ目を反らしてしまった私に対してコウさんは特に気にした素振りもなく、隣に立つ母の方に目を向けた。


「お久しぶりです。その後あれから特に変わったことはないですか?」

「お陰様で、家族皆無事に楽しくやってますよ」


それを聞いたコウさんの表情が安堵の色に変わる。

お、コウさんもそんなかしこまった態度がとれるんだ。

いつもの仏頂面は封印し、思いの外柔らかな空気を醸し出している。

まるで気だるい素振りを感じがない。

ふ〜ん、なるほどねぇ…

そこはちゃんと大人の対応。態度の悪いコウさんもTPOはわきまえてる訳だ。