愛情の鎖


ーーー…



そして当日。

コウさんと会う約束をした土曜日、私は時間より1時間も早く、玄関先で彼が来るのを今か今かと待ち構えていた。

だってやっと会えるんだもん。

待ちに待ったこの瞬間、待ち遠しすぎて今朝なんか5時に目が覚めてしまったぐらいだし。


「ふふ、気合い入ってるわねぇ、梨央」


そんな私を見て母が楽しそうに笑う。

「若いっていいわね〜」なんて茶化しながら、何故か母の方もウキウキして見える。

きっと母もコウさんに会えるのが楽しみなんだと思う。

だって彼はこのうちのヒーローだもん。



「わーい、今日あの刑事のおじちゃんが来るの?奈々もあの刑事さんに会いたい」


そしてここにも彼のファンが1人。


「奈々ねぇ、あの人好き。だっていつも来るとき奈々の好きなお菓子持ってきてくれるんだよ」


ほうほう、なるほどねぇ。

コウさんってばやっぱりぬかりない。ちゃっかり奈々にも餌付けしちゃってたわけね。

あいにく父は仕事で朝早く出掛けてしまったため今日はいないけれど、父もコウさんに対して満更じゃなさそう。

「機会があれば真白くんとまた飲みにでも行きたいなぁ」なんて言ってたし、


本当ちゃっかりしてる。

しかも君づけだし。

気付けば家族皆が真白ワールドにどっぷりはまってるようだ。