愛情の鎖


「聞いてもいい?あの刑事さんとは何処でどんな風に知り合ったの?」

「…いや、その……」


参ったな。

そんな興味津々に聞かれても、何をどう答えたらいいか…


「あら、別に恥ずかしがることないじゃない。男と女なんてね、どんな立場や状況だろうが恋に落ちる時は落ちるんだから。
それに、あなたも聞いてるでしょ?結局のところ宗一郎くんとあなたの間には婚姻関係は無かったって。貴方達は夫婦じゃなかった。結婚してなかったのよ」


あ……

その母の言葉に目を開く。

そうなんだ。

私と宗一郎さんは実は結婚していなかった。

法律上夫婦じゃなかったのだ。

それは私も取り調べの時に刑事さんに聞いたことで、何よりも驚いたこと。

宗一郎さんは前の奥さんとの離婚が成立していなかった。

何年か前からお互い結婚生活は破綻し、それぞれ新しい相手がいたものの、何故か法的にちゃんと手続きがされていなかった。

それがどうしてなのか正直私には分からない。だけどきっと当事者でしか分からない理由でもあったのだろう。

これって不幸中の幸い?

そんな風に思ってしまう私はやっぱり内心良かったと思わずにはいられなかった。