「きっとお父さんもそうするしかできなかったのよね。あの人は人一倍優しくて責任感の強い人だから。こんな風に家族がおかしくなったのは自分のせいだってずっと自分を責めることしかできなかったのよ」
「………うん」
聞いていてこっちまで息が詰まりそうだった。
母の声がより悲しみに広がった時、私も胸の奥が熱くなった。
誰よりも家族を大切にしていた父。
そんな父を思うと切なくてたまらない。
「ちょうどそんな時だったかしらねぇ。えっと確か真白さんって言ったかしら?あの背の高い刑事さんがうちに尋ねていらしたのは」
「えっ?」
「下の名前は何て言ったかしらねぇ。えーっと確か……」
「も、もしかしてコウさん!?晃一っていう人!?」
「あ、そうそうその人だわ!」
パチンと一致したように手を合わせた母に私は目を丸くする。
だって、今コウさんって、
晃一って言ったよね!?
「コウさんがうちに来たの??」
思わず大きめの声を上げた私に母は思い出したように、ニコリと笑う。
「そうよ。ちょうど1ヶ月ほど前だったかしら?突然うちを尋ねていらしてね、娘さんは今うちでお預かりしてますって。責任もってお守りしますので安心してくたさいって」



