「梨央の父親も母親も、皆お前が帰ってくるのを待ってる。すごく心配してる。お前だってそうだろう?今までずっと家族に会いたかったんじゃないのか?それがお前の望みだろ?」


あ……


その言葉に私はゆっくりと顔を上げる。

それは私がずっと望んでたことで、何より願っていたこと。


「お前がずっと戻りたかった場所へ帰れ」

「…コウさ……」


コウさんの真剣な瞳が私を写し出す。

だけどそれは温かさに満ち溢れていて、私の気持ちを前に動かしてくれるのには十分なもの。きっとコウさんは全て分かったうえで言ってくれている。

彼なりの優しさなんだと分かるから。



………うん、そうだね。

これ以上コウさんに甘えちゃいけない。

困らせちゃいけないね。





「…分かり、ました……」


だから私は再び泣きそうになるのをグッと耐え、笑顔に変えた。

でも、



「これで最後じゃない、よね?また会えるよね?」


不安げに彼を見つめた。

どうしてかそれがすごく心配だった。

このまま会えなくなっちゃうような、そんな嫌な予感が過ったから。