愛情の鎖


慎ちゃんを傷つけたのは私。

私なのに……


それは今思い出しても苛立ちが込み上げる。

私を守ろうとしてくれた慎ちゃんに裏で手を回した宗一郎さん。

彼が目障りだった宗一郎さんは慎ちゃんのやりがいだった仕事を奪おうとし、そして身に覚えのない借金を押し付けた。

そして慎ちゃんが追い詰められ、身動きできなくなったところであくどい駆け引きを持ちかけたのだ。


「私から手を引けば全てを元通りにしてやる」と…


これが彼のやり方。

宗一郎さんの闇に汚れた本性なのだ。

私の知らないところで地獄のような苦しみを抱えていた慎ちゃん。

この時、慎ちゃんは病気で入院する母親と2人暮し。しかもおばさんは手術をしないと長く生きられない状態だった。

慎ちゃんのお父さんはすでに病気で他界しているし、自分の家族を守れるのは慎ちゃんしかいない。

だから慎ちゃんは苦渋の選択の末、私と離れることを決めたんだ。