愛情の鎖


それから1時間後。実家に着いた私は「おねーちゃん!」という可愛い妹のお出迎えに一瞬で笑顔になった。

バタバタと嬉しそうに近づいてくる足音。


「菜々~ただいま」


1カ月ぶりの実家。そして飛びつくようにして足元に抱きついてきたまだ6才の小さな菜々をぎゅうっと抱きしめ返すと、その後ろから柔らかな声で「おかえりなさい」と母親も顔を出した。


「元気そうね」

「お母さんも」


そんなやり取りにふっと心が軽くなる。

その笑顔は1カ月前とは何も変らず私を優しく受け入れてくれるから、やっと肩の力が抜けた気がした。


「さあさあ、早く入りなさい」

「おねえちゃん早く~!」


2人の笑顔に連れられて入った馴染みのあるリビング。

母の趣味でヨーロッパ調にインテリアされたちょっぴりおしゃれな我が家。


―――うん。何も変わってない。

それだけで私はほっとする。

大切な家族が幸せそうに暮らしているだけで、大好きな人達の笑顔が見れることだけが今の私の唯一の幸せなのだ。