「これは…チケット?」
「正解っす」
あ……もしかして、
「これって、菜々の発表会のやつですか?」
「うん、そうみたい。来週の土曜日に発表会があるからお姉ちゃんに来てほしいって言ってたよ」
「そうですか……」
嬉しさで顔が緩む。
思わず笑顔で西田さんをみると、彼もまた優しい笑みを返してくれる。
「菜々は元気ですか?」
「ああ、元気だよ。今度のピアノの発表会お姉ちゃんにも見てほしいって頑張ってたよ」
そっか…
菜々のあどけない笑顔が脳裏に広がる。
良かった。頑張ってるんだ…
思わず涙ぐみそうになるのを必死でこらえると、西田さんがそんな私を見て頭をポンポンとしてくれた。
「大丈夫、安心して。菜々ちゃんだけじゃない、梨央ちゃんのお父さんもお母さんも皆元気だから」
「ありがとうございます」
私はもう一度お礼を言った。
一時は本当にどうなるかと思ったけど、コウさんが指示してくれたおかげで今は西田さんが私の家族の警護をしてくれている。
他にも数人の刑事さんが交代交代でうちの家族を見張っていてくれているらしく、24時間は安全だという。
あの家も今は一時的にあそこから離れ、どこか安全なホテルにかくまってくれているらしい。
本当に良かった。
皆さんに感謝、感謝だ。



