「おい西田、お前少しは静かに上がってこれねぇのか」
毎度毎度鬱陶しい…。そう言ったコウさんに私は苦笑いを浮かべた。
彼は西田順さん。コウさんの職場の後輩だ。
彼とは此所に越してきてすぐ紹介され、2、3回会った仲だけどとても交遊的だ。
しかも何故か初めて会った時、「やっと会えた」と抱きつかれそうになり、ずっと私と話してみたかったらしい。
外見はコウさんとは対照的にくっきりとした二重に爽やかな顔立ち。コウさんほど背は高くないが、彼もまたイケメンに分類されるタイプだと思う。
「まぁまぁ、いいじゃないっすか。つーか暗くて何考えてるのか分からない無口より多少愛嬌があった方が断然可愛いでしょ?」
「誰もお前に可愛さは求めてねぇよ」
「げっ、相変わらずひでぇなコウさんは。ねぇ、梨央ちゃん。梨央ちゃんは俺の良さを分かってくれるよね?」
「……ハハ……」
何ていうかお調子者だ。
まるで翔太みたい……。
このノリ、明るい雰囲気をまじまじと感じて思わず複雑な気分になってしまう。



