愛情の鎖


「えっと、たぶんそうだと思います。……ただ、どこの区役所なのかはちょっと…」

「……たぶん?なんだ、一緒に提出しに行ったんじゃないのか?」

「……いえ、一緒には行きませんでした。次の日宗一郎さんが仕事に行くついでに一人で出してくるからと言って私は家で待ってたので」

「……一人で?」

「はい」


何かまずいことでも言ったかな?

そのあとすぐ重苦しい沈黙が流れ、私は次第に不安になった。
だって、「そうか……」と呟いたコウさんの顔があまりに深刻そうだったから。

なに?何かあるの?

思わずそう聞き返してしまいたいほど、私とコウさんとの間に流れる空気は神妙だ。


「…あの……」

「なるほどね」


そう呟かれた瞬間、コウさんがやっと私の方を見た。


「あの男のやりそうなことだな」

「えっ……」

「まぁ、いい。それならそれでこっちにとって好都がいい。この先色々とやりやすくなるしな」

「……は?やりやすく……?」