愛情の鎖


「おはようっす。姐さん」

「おはよ」


元気良く車の後部座席の扉を開けてくれたのは金髪の翔太。

彼は宗一郎さんの組の下っぱ。いわゆる子分っていうやつで、私専属の運転手をしてくれている。


「今日もキレイっすね」

「…どうも……」


朝からハイテンションの翔太。

年齢は私の2つ下で20才。365日やたらテンションが高い男なのだ。

どうやら彼は宗一郎さんのことをとても慕っているようで、妻である私のこともとても気にかけてくれる。


そしていつか宗一郎さんの肩腕になるのが夢だ、とか日々口癖のように言っている暑苦しい彼なんだけど…


「またケガしてる……」

「ああ、これっすか?」


そう言ってお茶目にはにかんだ翔太。

その右頬にはあからさまに殴り合っただろう痣ができていて、唇にはうっすらと血が滲んでいた。


「相変わらずやんちゃしてんの?」

「まぁ、ぼちぼちっす」


毎日代わる代わる体のいたる所に痣や傷を作ってくる翔太に毎回呆れる私。

いったい喧嘩の何が楽しいのか。

自分の体を傷つける彼の神経に正直私は理解が出来ない。