「コウさん、今日のお昼はお好み焼きでもいいですか?」

「ああ」

「どう?一緒に作ってみる?」

「……ああ」


コウさんの料理の腕前は相変わらずだったけど、それが無性に可愛いかった。

眉間にシワを寄せて包丁を振り降ろす姿。それが絶妙に可笑しくて不器用すぎる仕草に大抵いつもクスクスと笑いが込み上げてきてしまう。


「おま…、さっきから俺をからかって遊んでないか?」

「まさか!私はコウさんの為を思って修行してあげてるだけだよ」

「けっ、本当かよっ…」


そう難癖つけながらも私の言うことを聞いてくれるコウさんは優しい。
こんなにも一分一秒が楽しく感じるのは100%彼のおかげ。
宗一郎さんの時には味わえなかった穏やかな温もりが今の私のささやかなエネルギー源。


「コウさんもいい大人なんだから料理の一つぐらいはできなきゃダメだよ」

「べつに料理なんかできなくてもそれなりに生きていけるだろう」

「まーたそんな言って、そんな余裕こいといて一生結婚できなかったらどうするの?」


その時に後悔しても遅いんだよ〜

フフンと嫌味っぽく視線を向けると、コウさんは一瞬手を止め、そして私の方を見た。