愛情の鎖


「…………なんかない」


最初何を言ってるのかわからなかったが、それとなく聞き返すと、それは非常に興味深くハッとするもの。


「私ね、旦那のこと全然愛してないんだよね」


唐突にクスリと笑いだした梨央に俺は一瞬動きを止める。


「ごめん、ビックリした?私冷めてるでしょう?」


そして昨日の出来事を振り返りながら、梨央はあっさりと自分の胸のうちを語った。

その表情と口調が唖然とするぐらい平然としていて…、俺は少し面食らいながらその様子を傍観し、気付けばくっと喉を鳴らしていた。


「面白いじゃん」


前々から薄々もしかしたらそうじゃないかとは予想していたが、実際にそれがはっきり分かると妙に気持ちがスッキリした。

やはりそうか…、と思う反面初めて聞く梨央の心のうちに俺は内心気持ちが高ぶった。

お金のために体と自由と奪われても、心までは売らないってか。
それは簡単そうに見えて案外難く、誰でもできることじゃない。

俺は仕事から梨央みたいなケースの女をそれなりに見てきた。借金のために卑猥な男達に身も心も買い殺しにされてきた女を…

だからなのか、梨央のそんな態度を見てやけに新鮮で、今までの彼女の見方が180度変わった瞬間だった。