愛情の鎖


だけどその日、澤田達が行動を起こす事はなかった。

何事もなく夜が明け、朝方すぐに何故かす澤田宗一郎だけがいそいそと旅館を後にした。

納得のいかない俺は少し乱暴に煙草をくわえて、苛立ちを募らせる。


「まさか、俺達の行動に気付かれたんですかね?」

いや、そんなはずはないと思うが…

「それとも、向こう側で何かトラブったとか?」


たぶんそれだろう。

澤田が旅館を出ていく時、携帯を耳に当てながら凄い剣幕で当たり散らしていた。
きっと相手との取引に何かしらトラブルが生じたのかもしれない。

女将もあれから特に変わった行動をするわけでもなく、通常の旅館の顔を振り撒いて業務に専念していた。


それにしても…


「悪運の強い奴め……」


それがやっぱり腹正しかった。

少し命拾いしたようだが次は容赦はしねぇ。

今度こそ追い詰めて、今まで築き上げてきたあいつのプライドも権力もこの俺が叩き壊してやる。

この手で全て……