愛情の鎖


それがどうにももどかしくて…

何故か彼女の態度を振り返った時、心が重くのしかかり、得体のしれない苛立ちが顔を出しそうになった。


「な〜んか不服そうな顔してますよ?」

「あ?」

「まぁ、自分の思い通りに進まないほど逆に夢中になったりしますからねぇ」

「…どういう意味だ」

「そのままの意味っす。刑事も所詮男ですから。自分の気づかない所で恋はいつの間にか育ってるということです」

「………」


何が言いたいんだこの男は。
やたら意味深にニヤリと笑う西田に俺はもう何も言う気にもなれなかった。

アホらしい…

これはあくまで仕事だと何度言ったら伝わるのか…、

俺はアクセルをふかし、ため息と共に口に加えた煙草にカチッと火を付けた。