愛情の鎖


そんな曖昧な距離を保ちつつも、時間が経つにつれ、会う日数を重ねていけば次第に彼女も俺に心を開いていった。

屋上でのやり取りを交わしていくうちに彼女の笑顔も増えていき、言葉数も増えてくる。


「あ、こんばんは、コウさん」


それが半年ほどすると、彼女の声からは俺に対しての警戒心は消えていた。

自然な笑顔を張り付けて、当たり前のように俺を快く迎えてくれる。


「よぉ、また飲んでるのか。この酔っ払い」

「ふふ、コウさんもよかったら一緒に飲む?」

「いらねーよ」

「ふーん、ならいいけど…」


そう言って梨央は俺に見せびらかすように、グビグビと飲み干してしまう。

最近じゃ、こんなやり取りが普通になりつつあった。

以外にも、知れば知るほど彼女の最初とのギャップは大きく、ジュースや甘いふわふわなお菓子が好きそうだと思えばまさかのビール好き。

時々「何かつまみはないの?」と理不尽に要求してくるわ、彼女は想像以上にサバサバとあっさりした性格だった。