モールライトの淡い光の中、少し離れた距離からそんな彼女の横顔を見つめる。
それ以外にも、屋上のあちこちに色んなタイプの照明が設置されており、夜中というのにも関わらず彼女の姿はここからでもハッキリと見えた。
独特の雰囲気をもつ彼女……。
背中まで伸び、たぶんまだ1度も染めたことがないだろうストレートな黒髪。
くっきり二重にバランスのよいシャープな高い鼻。
横からみるその姿は儚げで、少しうつむき加減に落とされる瞳の奥からはいったい何を写しだしているのだろうか?
ただ、そんな彼女の雰囲気は不思議と嫌いじゃなかった。
年齢の割に落ち着いている性格は俺にとっては妙に話しやすかったし、どうしてかまったく違和感がなかった。
だから俺は時間の許す限り、ほぼ毎日のように彼女に接触した。
こうして顔を合わせるようになってからまるっと1ヶ月ぐらいになるが、あまり進展はない。
俺が話しかけない限り彼女は何も話そうとしなかった。
俺の存在なんかさもどうでもいいかのように、彼女はいつも空ばかりを見ていた。



