そこはあの時、宗一郎さんに締められた手の跡がはっきりと残っていた。
それをまじまじと見た瞬間、急にフラッシュバックのようにその時の光景が浮かび上がってきた。
途端ガタガタと恐怖で体が震え出す。
思わずその場にしゃがみ込んだ。ひどく走った訳じゃないのに息が上がり、フラフラとまるで酸欠状態にでも陥ったようだった。
恐い……
たまらず自分の体を両手で擦った。
澤田宗一郎、あの時の冷淡で冷酷の表情を思い出しただけで、私の心はひどく怯え強い金縛りにあったようだった。
だから暫くそこから動けなかった。
しゃがみこんだまま、強い恐怖に捕らわれてどうしたらいいかわからないでいると、「…梨央?」と扉がノックされ、少しの間のあと「入るぞ」と声がして目の前の扉がゆっくり開けられた。
「どうし……」
「コウさっ」
その姿を目にした瞬間ぶわっと急に涙が溢れ出した。
それを見たコウさんの瞳が大きく開かれる。
私はたまらず顔を苦痛に歪ませ、側に駆け寄りしゃがみ込もうとしたコウさんに向かって両腕を伸ばす。気づいたら助けを求めるように飛び付いていた。



