愛情の鎖


するとその瞬間我に返った。

自分のおかれてる状況にやっと私は気づいたのだ。


「きゃっ……」


急激に恥ずかしくなった私は慌ててコウさんの胸元を押し返す。

顔が一気に熱くなる。

だけど、背中に回ったコウさんの手は簡単には離れなかった。
むしろ面白そうに私を捕まえて、ぎゅっとあからさまに力を入れてくる。


「ご、ごめんなさい!お風呂上がりだとは気づかなくてっ、あのっ!」


赤面した私はオロオロとたじろいた。

だってコウさんってば上に何も着ていない。ただ、首からタオルをかけているだけで、上半身引き締まった体がダイレクトに私の体感を刺激する。

コウさんって意外といい体してる……、ソフトマッチョだ。

じゃなくてっ、


「コウっ……」

「梨央、お前も入ってこいよ。なんなら俺が体ぐらい流してやるけど?」


……また、ポタリと水滴が落ちた。今度は首筋に。

それがつぅーと胸元に流れ落ちると、ゾクリと体が不覚にも反応してしまう。