「んっ……」
それから目を覚ました私は何故か見知らぬベッドの上だった。
まったく身に覚えのない照明、そしてインテリアに部屋の景色。……此処は、どこ?
そう意識がはっきりした瞬間、すぐに嫌な不安が込み上げ、私はハッとして飛び起きた。
きっと寝室であろうこの部屋には誰も居なかった。そこはシーンと静まり返り、唯一分かったのは窓の外からこぼれる太陽の光りと、小さなすずめの鳴き声だけ。
えっと、
「……コウ、さん?」
思わず呟いたけれどなんの返事もなかった。
確かにあの時、私はコウさんといた。
ふと甦るのは真夜中での屋上でのやり取りで、此処に居ない彼の姿を思いだし、再び得体の知れない不安に襲われる。
もしかしてあれは夢だったんじゃないか。
そう思えるほど、私の心情は脆く、とても弱々しくなっていた。



