「お願い、助けて……」
どうか私を救って。
このまま私を救ってください。
今度ははっきりと声にした。
宗一郎さんから解放されるなら他は何も望まない。私は何でもできるから。
だからどうか…
「このまま私をさらって……」
お願い此処から連れ出して。
もうこんな所にはいたくない。
1秒でも早く逃げたしたい。
そうやってコウさんにすがるように伝えれば、「最初っからそう言えよ」と私を包み込む力が強くなった。
そして彼の片方の手が「よく言った」と言わんばかりに私の頭をわしゃわしゃと撫でる。
それと同時に少し彼が笑ったような気がした。
それが彼なりの愛情表現に思えて、心の震えが癒されていく。
だけどやっぱり涙が止まらなかった。
これでもかってぐらいコウさんに身を任せ、そのまま泣きつかれ、私の意識はいつの間にか遠退いていく。
とても安心した思いだった。
彼に抱きすくめられながら、私は疲れきったように体を預け、力強い腕の中で深い眠りへと落ちていった。
ーーー…



