「…たす、けて……」
コウさん
「…わ、たし……」
「もう頑張らなくていい」
両手で顔を覆いつくすと、頭上からそんな頼もしい声がした。
「誰が死ぬまで頑張れって言った」
その声に顔を上げると、とても険しい顔をしたコウさんが私から奪った拳銃を持ちながら同じようにしゃがみこんだ。
「誰もそんな事望んでない。お前の家族も皆、そして俺も……、
たくっ、何で俺に頼らない。何もかも全部一人で背負うとするからこういう事になるんだよ。お前一人が頑張って何ができる?少しは誰かに丸投げするぐらいの図太い度胸ぐらい覚えろよ」
コツンと、コウさんの拳骨が頭の上に乗った。
口調はぶっきらぼうなのに、私に向ける瞳はとびっきり優しい。
「そんな小さい体で全部詰込みやがって、もっと楽な生き方ぐらい覚えろよ。詰めるだけ詰め込んで自分が身動きできなくなったら何の意味もねぇだろ」
「コウ……」
「お前が死んだって何も変わらない。むしろあいつの思うつぼだ。それでいいのかよ。あんなゲス野郎にやられるだけやられて、お前はそれで諦めるのかよ」
あ……
目の前が涙で一杯になると、再び堰を切ったように私の瞳から大粒の涙がこぼれ落ちた。
それは私が父に対して感じたそのままの思い。
それはあの日、父の自殺を止めた私の感情そのものだったから。



