「お願いだから来ないで!これ以上近づいたらう、撃つから!」
この時、私は完全に気が動転していた。
まさか、コウさんに向かって拳銃を向けるなんてっ…!
自分でも信じられない。
でも本気じゃない、だけどこのまま彼に近付いてきてほしくなかった。その一心でーー
「私のことはほっといて!もう疲れたの。一人になりたいの。何もかもが嫌になったのよっ!」
どうしようのない思いで悲観する。
もう死なせて、邪魔をしないで!
だけどコウさんの鋭い瞳が私を追い込むように離さない。
「梨央、あんなゲス野郎の為にお前が命を捨てる必要はない。命を粗末にすんじゃねーよ」
「コウさんに何が分かるの?私がどんな思いでこんなっ、もう無理なの、ほっといて!このまま自由にさせて!」
拳銃を持つ手に熱がこもる。
もう何を信じてどう生きていけばいいか分からない。
だって、この先もあの人に買い殺される苦痛が続くなら生きてたって無駄なだけ。このまま死んだほうがましだから。



