愛情の鎖


何故か楽しかったこと、苦しかったことなど今までの23年間の思い出が走馬灯のように甦ってきた。思わず泣きそうになりながらもグッと拳銃を持つ手に力を入れた。

やっとこれで楽になれる。

そう思った瞬間ーー、




「よぉ、ずいぶんと楽しそうなことしてんじゃねーか」


背後から低い声が聞こえ、私はハッと動きを止めた。


「こんな夜中に一人遊びか?それとも寝ぼけてんのか?」


ゆっくり背後から近づく足音が聞こえ、目を見開いたまま凍りつく。


「梨央、そんな物騒な玩具なんて誰に貰った?お前には似合わねーよ」


いつもの低く気だるい声だった。

その正体か誰かなんて振り返らなくてもすぐに分かってしまう。
この時間ならきっと彼は居ない。彼は来ないだろうという勝手な思い込みをした自分自身にひどく後悔をした。


「梨央……」

「来ないで!」


思わず声を上げた。

どうしてこんな時に限って……、私が浅はかだった。

会いたくなかった。今だけは…

こんな姿を見られる前に、さっさと引き金を引いておけばよかったんだ。