私は信じられない気持ちで宗一郎さんを見た。

すると嘲笑うかのように見下ろされ、有無を言わせず私の手に拳銃が乗せられた。


「安心しなさい。後の始末は他の奴らにやらせる。梨央に容疑がかかることはない。だから君はあの男に近づきただ、この拳銃の引きがねを引けばいい。梨央が捕まる心配はない」

「そんなっ……」

「もし、それでも出来ないって言うのなら……」


宗一郎さんが私と同じようにしゃがみ込み、私の首に向かって手を伸ばす。


「この話しは無しだ。君には今まで通り俺の側にいてもらう。離婚はなしだ、永遠にな」


そのまま軽く首を撫でられたかと思うと、突然グッと力よく締められた。
「ぅ……!」と小さく声を漏らすと、ゴツゴツとした指がぎゅっと首筋に締まり、私は怖さのあまり瞳からつぅーっと涙をこぼした。


「言っとくが簡単に俺から逃げられると思うなよ。どいつもこいつも俺を甘く見やがって、…梨央、お前だけはそう簡単に逃がしはしない。お前は俺のものだ。お前の家族もな。俺から留理子を奪ったお前の父親に最高の苦痛と屈辱を味あわせてやるよ」