愛情の鎖


「いやっ……!」


恐ろしさのあまりそのまま勢いよくその場にしゃがみこむ。
激しく動いた訳でもないのに息が上がり、恐怖のあまり体がブルブルと震えだした。


「梨央、そんなに乱暴に扱っちゃダメじゃないか。床に落ちた衝撃で万が一発砲したら大変だろ」


呆れたような宗一郎さんの声が届く。
ニヤリと恐ろしい声で、私が捨てたそれを手慣れたように拾い上げ、再び私の方へと歩み寄ってくる。


「少し落ち着きなさい」

「やっ!」


そんなの無理だった。

初めて間近で見るその物体。それはよく刑事ドラマとかで見るあの拳銃で、そのあまりの重圧に思考回路がパニックになる。

だってそれが何を意味してるのは明確で、「始末してほしい」さっきの宗一郎さんのその言葉はつまり、そのままの意味だから。