「そうだな、可愛い梨央の為だ。今回は特別に手っ取り早い選択をさせてあげよう」
私から離れた宗一郎さんが一旦寝室に入り、何か箱を持ってきた。
それはぱっとみ30㎝ぐらいの長方形の箱で、真っ黒にコーティングされたそれは上質そうな小包って感じに見えた。
「…あの……」
「これを開けてごらん」
私の言葉を遮り、優しく手渡してくる宗一郎さん。その仕草がやたら丁寧で、
直感的にヤバイと思った。
きっとこれを受け取ったら取り返しのつかないことになる。だから開けたらマズイ。
そう思ったけれど、今の私にはそれを拒否することの方がよっぽど恐ろしかった。
「さぁ、開けるんだ」
低い声で急かされて、言われた通り震える手で恐る恐る蓋を開ける。
そこから見えた黒い物体。それを目の前にした瞬間思わず視線が固まり、悲鳴に近い声でそれを床に投げた。



