宗一郎さんの瞳が怖かった。
だって目の前の瞳がさっきとは比べ物にならないほど冷淡だ。色素を無くしたような瞳の奥に怯える私の姿が写っている。
「どうした梨央?そんなに身を固くして、何も逃げなくてもいいだろう……」
「…あの……」
「その表情、まるで若い頃の留理子にそっくりだ。さっきの怒った顔もよく似てる。さすが親子だな、見ていて飽きない。何かこう体の中がうずうずしてくるよ」
トンっと、背中に何かが当たった。
それが部屋の中のどこかの壁だということはすぐに分かった。目の前には私を追い詰める宗一郎さんの体。
もうこれ以上下がれない。そう思った時、ドクドクと激しい動悸が押し寄せる。
「梨央愛してるよ。留理子なんかよりずっと、誰よりも…」
追いつめられた私の肩に宗一郎さんの手が乗った。
そのままグイッと引き寄せられると、悲鳴に似た感情が私の中で弾け飛ぶ。



