だから今まで以上の冷たい視線を向けた。
すると宗一郎さんが少しの間のあと私に向かって再び口を開く。
「俺みたいな卑怯者、か……
ふっ、ずいぶんと言うようになったじゃないか…」
そう言って目を細めた彼に思わず唾を飲み込んだ。
宗一郎さんの雰囲気が一瞬で冷たいものになり、周りの温度が2、3度ヒヤリとしたものに変わった気がした。
「梨央は俺のことずっとそう思ってたわけか。血も涙もない最低な野郎だって?」
「えっ……」
「心の中ではそう貶していたわけか。俺に抱かれながらずっと……」
……宗一郎さん?
彼のトーンも低く代わり、私は再び緊張で体を硬くした。きっとこれ以上言ったら危ない。そう直感したけれど、今日の私はそれでも止めることが出来ない。
「だったらなんですか?もし…、これ以上母に苦痛を与えるなら私も黙っていない、この結婚は解消してください!」



