愛情の鎖


宗一郎さんがそう言って薄ら笑いを浮かべた。
さすがの私もこの言いようにはカチンときた。


「母はそんな人じゃありません!」


信じられないと思った。

母がどんな思いで懇願したのかも分からずによくそんなことを……っ、
さっきの母の涙。あの表情を思い出すとこれ以上母を侮辱されるのだけはいやだった。


「あなたみたいな卑怯な人と一緒にしないでください!母は父を愛してるし、本心はあなたなんかと関わりたくないに決まってる、宗一郎さんの身勝手な欲望のためにこれ以上私の大切な人達を傷付けないでください!」


言った直後やけに息が上がっていた。

それぐらい自分でもコントロールができないほど感情が高ぶっていた。

だって許せない。目の前の彼がどうしても!


少しの沈黙の後宗一郎さんが再びカップをソーサーに置いた。その仕草さえ、何一つ今は鼻についてしょうがない。