母が手を握ったまま泣き崩れる。
ショックのあまり何も言葉が出てこなかった。
母の強い思いが私の胸を突き刺し、とてつもない悲しみだけが胸いっぱいに広がった。
家族を守るために必死だった私のように、母も私を救うために必死だったのだ。
自分を犠牲にし、愛する人を守る為に、
ただ、それだけの為に……
「……っ………」
そう痛感した直後、再びぽたぽたと涙が零れ落ちた。
握られてる母の温もりが苦しいほど痛かった。
「ごめんね梨央。今までずっとあなたにばかり辛い思いをさせて。本当にごめんなさい。私達親が不甲斐ないばっかりに……」
私はバカだ…
大バカだ。そんな母の切実な気持ちも知らないで酷く責め立てた。目の前の母を軽蔑な眼差しで睨み付けてしまった。
母は何も悪くない。
むしろ私を助けようとしてくれただけなのに、母だって被害者だ。悪いのはずっと、
本当に謝ってほしいのはずっと……



