愛情の鎖


その言葉を聞いた瞬間ハッと、強い言葉を投げた。


「だから宗一郎さんと今の関係をっ?」

「私が彼の要求を呑めばあなたを解放してくれるって言ったの。だから私は宗一郎君が望む通りに言うことを聞いて今までずっとっ……」


ガツンと、頭に陶器で殴られたような衝撃を受けた。

全身からあらゆる力が抜けていき、母の顔を信じられない気持ちで見つめてしまった。


「…うそ、でしょ……」


……全部わたしのため、だったの?

私を救うために母もが今まで宗一郎さんの犠牲になってたっていうの!?

ザクザクと心臓が切り刻まれてるような痛みがはしり、嘆きの声が口から漏れた。



「……どうしてそんな……っ」

「だってあなたはまだ22なのよ。人生これからだっていう時に好きでもない人と結婚させられて、無理矢理拘束された人生なんて地獄と一緒じゃない!
そんなの耐えられない。誰が好き好んで今まで大事に育ててきた娘をそんな悲惨な目に遭わせなきゃいけないのよ!」


母が突然私との距離を詰め、ぎゅっと左手を握った。


「変われるものなら私が変わりたかった。あなたを自由にしてあげたかったの。その為なら自分はどうなってもよかったの。梨央が幸せになってくれるなら私なんてどうなったってよかったのよっ」