だって、だからと言って今二人がそう言う関係になるのはやっぱり理解できないし、強い憤りを感じてしまう。
「もしかして……、宗一郎さんに脅迫でもされたの?」
もうそれしか考えられなかった。
宗一郎さんを恐れ、逃げてきた母なのに再び同じ過ちを繰り返すとは思えない。
私が問いただした瞬間母の眉が緊張で険しくなった。
やっぱり…
そう思った直後、母の泣きすする声が私の耳に悲しく響く。
「あなたを守りたかったの」
「えっ……」
「私だって梨央を守りたかったのよ!」
両手で顔を覆い感情を露にする母に私の心臓が大きく跳ねた。
「彼から借金の代わりに梨央をよこせと言われた時、私は固くなに断ったの。絶対に嫌だと、そして何度も真剣に謝ったわ。もしかしたら宗一郎くんはあの時の事を根にもって私達の所に近づいたんじゃないかって、彼から逃げた私を恨んでるんじゃないかって。その代償が今になって振りかかってきたんじゃないかって思って必死になって頭をさげたのよ。
だけど全く聞き入れてもらえなくて……」
母が顔を上げ、涙でいっぱいになった顔で私を見た。
「その後も…、梨央を奪われたこの3年間何度も宗一郎君に頼みに言ったわ。娘を開放して欲しいって、梨央を自由にしてくれるなら何でもするからって、例え私が犠牲になってでもあなたを救いだしたくて……だからっ」



