愛情の鎖


「彼は私を自分のものにした後から少しづつ変わってしまったの。嫉妬深くなって私を束縛するようになった。最初はそんな彼の行動も愛情の1つだと思って真剣に受け止めていたんだけれど、次第にそれが苦痛になってしまった。

とにかく彼を一番に優先しなきゃいけない。
男友達と関わるなんてもってもほか。クラスの男子や部活の先輩と話すことも許されない。
電車通学で少しでも他の男の人に肩がぶつかったら怒られる。
仕舞いには女友達と遊ぶのにも疑いをかけられるようになって……」


その時のことを思いかだしているのか、母の顔が苦痛の表情に変わっていく。


「もう一緒にはいれないと思った。このまま交際を続けたってお互いの為にならないと思ったの。宗一郎くんの私に対しての執着は少し異常だったから、だから高校を卒業すると同時に彼に別れを告げたのよ」


その時の母の苦痛が今の私にはよく分かる気がした。

歪んだ愛情を押し付けてくる彼の束縛。
それは昔から定着していたもので、私がもしその当事者でもきっと母と同じことをしてたと思う。