愛情の鎖


「お父さんは宗一郎くんの歪んだ感情を知らない。あの涼しい笑顔に隠された汚れたら本性を」


母は一瞬目を伏せて、涙ながらにゆっくりと過去を語る。


「宗一郎くんはね、幼い頃両親が離婚して母親と2人で私の家の隣に建っていたアパートに住んでたの。年が近かった私はよく近所の公園でそんな宗一郎くんと一緒に遊んでいたりして、彼の母親が仕事でいない時は頻繁に面倒を見ていた仲だった。

そして"高校3年生の時告白されて、宗一郎くんと一時期付き合ってたこともあったわ」


そんな言葉が吐き出されて、私はまたしても目を見開いた。


「えっ……」

「宗一郎くんの気持ちはうすうす気付いてた。私を姉のような存在じゃなく、恋愛対象とみていることは。
そして私もそんな彼が可愛いと思った。ずっと慕ってくれていた彼の気持ちに応えようと思ったの。

だけどそれが大きな間違いだった」


母はそう言って言葉をより固くした。