愛情の鎖


「……ちっ、残念、タイムオーバーだ」

「えっ?」


そう言ったコウさんの顔がみるみると鋭いものに変わってく。
私のそのまた向こう側に視線を向けている彼は今までの柔らかい雰囲気とは変わり、少し怖いぐらいの固さで視線を定めてる。


「へっぽこナイトのお出ましだな」

「えっ……」


その言葉を聞いてすぐに私の心臓もハッとしたように凍りつく。
それが今しがた一緒だった翔太だってことに気付いたから。


電話終わったんだ…

焦りと緊張、身体中の血液が一気に逆流しそうな感覚になった時、私は意を決して振り返った。



「……姐さん?」


背後から翔太の足音が近付いてくる。

私は素早くコウさんから離れ、すぐさま自然な笑顔を張り付ける。


「……なに?電話は終わったの?」


声が不自然じゃないことに自分でも感謝した。

震える体に気づかれないように、カートを持つ手にぎゅっと力を入れる。