愛情の鎖


「もしかして、コウさんも夜のおかずを買いにきてくれたの?」

「ちょうど手が空いたからな。何となく寄っただけだけど」


そう言いつつ、彼のカゴの中には私が好きな物が沢山入っていた。
特にビールの銘柄は私がいつも飲んでいるやつだったから、自然と顔がにやけていく。


「ふふ……」

「なんだよ」

「な〜んにも」


コウさんって意外と優しいんだよね。

普段ぶっきらぼうなくせして、ちゃんと思いやりがあるんだもん。

そもそも夜のご飯だっていつもコウさんのお金。

「これで好きな物を買ってこい」と言わんばかりにコウさんは私に食材のお金をたんまり渡してくれる。

それなのにこんなさりげない優しさはズルい。すごーく惹かれるていうか、ツボ。

まだコウさんのことはちょっとしか知らないけど、そんな彼に日に日に思いは強くなっていくばかり。



「ありがとう」

「は?」

「コウさんに会えてちょっと嬉しいな」


たまらずそんな風に呟けば、彼は一瞬驚いたように目を開く。
なに言ってんだこいつ?みたいなふうにまたクールに返されるのかと思いきや、

見つめられる視線はほのかに…熱い。