愛情の鎖


「よお、奇遇だな」


ちょっと冷めた低いだと思った。

それは毎日聞いている聞き覚えのある声で、肩に置かれた大きな手。

私の中心を一瞬にして華やかな気持ちにしてくれるその感触は、振り向からずしてそれが誰なのかすぐに分かってしまう。



「……コウさん……」


確かな思いで振り向くと、そこにはやっぱり思った通りの彼だった。

ダークグレーのスーツをそつなく着こなした彼が、私を柔らかに見下ろしている。


「どうしたの?もしかしてコウさんも買い物中?」

「まぁな、エネルギー補給とその他もろもろ」

「へー」


珍しい…

コウさんとこんな所で会うなんてちょっと以外。て言うより想像つかないよね?

そう思いながらもやっぱり嬉しい。

コウさんの持つカゴを覗き込むと、チョコレートやアイス、スナック菓子がいっぱい。

その中には野菜やビールもちゃんと入っていて、思わず感心してしまう。