「姐さん、最近俺に対しての態度がやけにトゲトゲしてません?」
「そう?私は至って親切にしてるつもりだけど……」
まぁ、いい。
それならそれで好都合だ。
宗一郎さんが他の女の所に行ってくれてるなら、私の気持ちもうんと軽くなる。
むしろ安心だ。
いっそこのまま帰って来なければいいとさえ願ってしまうほどに。
「いや、でも頭の一番は間違いなく姐さんです。それだけは安心してください」
そんな翔太の呟きに私はあえて聞こえないふりをした。
はっきり言って聞きたくない。
……すると、暫くして翔太のポケットから携帯が鳴った。
彼は「ちょっとすみません」と言い残し、そのままいそいそとお店の外に出て行ってしまう。
一人になった私は尚更気持ちが軽くなった。
このままさっさと買い物に集中しよう。
そう思い直し、精肉コーナーで挽き肉を手にしようとした時だった。
トントン、と、突然背後から肩を叩かれて、私はピクリと体を震わせた。



