愛情の鎖


私の後をいそいそとついてくる翔太の横顔を盗み見る。


……うん、特に気にしてはなさそうだ。

彼は手早くカートとカゴを用意すると、私の隣でそれを当たり前のように押してくれる。

それが彼の日課。私を監視するボディーガードみたいなものだ。



「姐さんの手料理かぁ、死ぬまでに一度食べてみたいもんっすね」

「別に…、普通に食べに来たらいいじゃない」

「そんな滅相もない!そんなことしたら俺は確実に追放、頭に一発で殺られちまいますよ」


青ざめながら言う翔太に呆れながらも私はキャベツを1つカゴの中に入れる。


「大袈裟でしょ?そんなことで抹消されたら命がいくらあっても足りないじゃない」

「いやいやいや、頭がそういうの嫌いなの知ってるでしょ?他の野郎をプライベートに踏み込ませるのを」

「……まぁ、確かに……」


彼はそういうのが嫌いだ。

それを証明するようにこの3年間、宗一郎さんは私と自分以外を一度もマンションに招き入れたことはない。


「つーか、考えただけでも恐ろしい。俺、まだ一応死にたくはないんで今の話しはなかったことにしてください」

「ふーん」


だったら最初から言わなきゃいいのに…

そう思いつつ、私は翔太との会話をそこそこに目の前の食材に淡々と手を伸ばしてく。