愛情の鎖


「ごちそう様でした」


食べ終えた私は本日3本目のビールをあける。

ここに来る前、宗一郎さんと夕飯を食べてきた私は軽くサラダやちょこっとしたものを摘まんだ程度。

コウさんが隣で食べ終わるのを見届けると、片付けもそこそこに、喉ごしのいい黄金の液体をゴクゴクと口の中に流し込んだ。


「この、酔っぱらい」


隣から呆れた声が飛んでくる。ムギュッと鼻をつままれ、私はフガフガと口から声を漏らす。


「別にいいでしょ?やーっと自由な時間なんだから」


カウンターからローテーブルがある場所に移動した私達。上質なソファーを背もたれにして、私とコウさんはいつものように憎まれ口を叩き合う。


「コウさんはもういいの?もっと飲めばいいのに」

「俺はもういい、お前の飲みっぷりを見てるだけで十分だ」

「ふーん、そうですか。じゃあこっちはもう少しだけ飲んじゃおう」


フフンッと顔をビールに戻すと、コウさんがやっぱり呆れたように私の鼻を人差し指でピシっと弾く。そのままなに食わぬ顔して立ち上がったから、私はそれを追うようにもう一度顔を上げた。


「どこいくの?」

「煙草吸ってくる。あんま飲み過ぎるなよ。つーか、昨日みたいなことになったらもうこの部屋でのビールの持ち込みは禁止」

「う……」


思わず目を泳がした。

それを言われると何も返せない。ふと思い返すのは昨日の失態。

私はビールを飲むスピードを落とすと、ちびちびと口の中でほろ苦い味を味わった。