愛情の鎖


今日は仕事は休みだったのかな?

そんな姿を目にしながら私は目の前のキッチンにゆっくりと向かう。


「今日はオムライスにしようと思うの。いい?」

「ああ」


返事をしたコウさんが何やらソファーでタブレットを操作し、真剣な顔を向けている。

その姿は相変わらずクールで、ふっと苦笑いが漏れるほど。
この前あんなに情熱的な言葉をくれたことが嘘みたいな普通の態度。


…まぁ、別に恋人らしいことは特に期待してないけどね。
会ったそうそういらっしゃいのハグ、とか。そんな甘いことは期待はしてない。

元から淡白そうなコウさん。両思いになったからって急に甘くなったり、今までのさっぱりとした態度は当然変わることはないと思うし。



「すぐ作るから待っててね」

「ああ」


一瞬だけ顔を上げたコウさんが口元を上げる。

まぁ、今はその笑顔だけで十分だと思っておこう。